イロイロコハコの挑戦は、50年続く箱屋・尾崎紙器の四代目によって始まります。志したのは、箱屋としての技術を詰め込んだ希少価値の高い箱づくり。シンプルでありながらも心に残るデザインで、中に入れるもののサイズやイメージにぴたりとフィットする、オーダーメイドの箱を通してお客様に喜んでいただきたい。そんな願いを叶えたのは、工場の片隅に置かれた一台の機械でした。
それはかつて、貼箱をつくる工程で四つ角を針金で一時的に留めておく「針金留め」に使われた機械。菓子業界から針金を使用した貼箱が敬遠されるようになる中、針金留めの技術は国内から衰退し、機械の生産もすでにおこなわれなくなっていました。
四代目は、その眠らせていた機械と技術を掘り起こし、あえて金具を目立たせた箱の製作に着手。「角留め」と「平留め」の二つの技法を使った、無骨な表情の中にも新しさを感じる箱を完成させていきます。
同時に、オーダーメイドの箱を求めていらっしゃるお客様を一人ひとり訪ね歩き、デザインや質感、サイズ、中に入れる商品に応じた個別の箱をご提案。小ロットから納入し、実際に使ってもらって喜んでいただくことを重ねながら、イロイロコハコは事業としての形をなしていきました。